西洋料理を食べる時…
お皿はテーブルに置いたまま、ナイフとフォークで、料理を口に運んで食べるのがマナーですが…
日本料理では、ご飯茶碗やお椀を、手で持って食べる事が常識。
大体の器は持って食べた方が、お行儀が良いとされています。
お刺身用の醤油皿、酢の物の小鉢、また、カツ丼や牛丼などのどんぶり、小さめのお重も、持つのが基本です。
が…
中には、持たない方がよい器もあります。
例えば…
焼き魚の角皿。
刺身や天ぷらの盛り合わせが乗った平皿。
大きめの煮物の椀や、大きめのお重などは、持たない方が良い器に分類されます。
理由は簡単、手で持ち上げると重いからです。
「手で楽に持ち上げられるものは持つ。そうでない器は持たない」と考えると良いでしょう。
大きな器はテーブルに置いたままにして、料理を箸でとって食べましょう。
ご飯茶碗や汁椀など、手で持つ器は、もともと手のひらに収まりやすい形や大きさに作られているものです。
さて、実践編です。
会席料理などで、例えば、左奥の小鉢をとって食べようとする時…
右手と左手、どちらの手で器をとるのが正しいのでしょうか?
「利き手の右でとる」という人がいたら、それは「袖越し」というマナー違反になってしまいます。
「袖越し」というのは、右に置いてあるものを左手で、左に置いてあるものを右手でとること。
やってはいけない和食のタブー事項です。
袖越しは、料理の上を手でまたぐこと。
服に付いた汚れが料理に落ちたりまた、料理が付いて袖を汚してしまう可能性もあります。
人の料理の上を手でまたぐ、というのも、やってはいけません。
向こうの方にある醤油を取るために「ちょっと失礼」と、手を伸ばすのはタブーです。
遠くのものは、その近くの人に頼んで取ってもらいましょう。
そして、器は両手で取り上げるのが丁寧とされていますが…
右にある器は右手で、左にある器は左手でとって引き寄せてから、両手を添えるようにしましょう。
それが、スマートできれいな基本マナーです。
さて…
「全ての料理を箸だけで食べる」というのが、和食の特徴ですが…
日本の箸のルーツを探ると、もともとは、神様にお供え物をする時に使う「神器」
とても神聖な存在、と言えるでしょう。
箸を正しく取り扱う事は、食のマナーの原点です。
が、その基本が、意外と出来ていないのが、現代の日本人…
以下、やってはいけない「箸の使い方のタブー」をお知らせしましょう。
知らずにやっている事があるかも知れません。食事の時に確認して、気をつけるようにしましょう。
⚪︎ねぶり箸…箸に付いたものを口でなめる事
⚪︎もぎ箸…箸に付いた汚れを口でもぎ取る事
⚪︎箸渡し…箸と箸で食べ物のやりとりをする事(お骨拾いを連想させる)
⚪︎そら箸…食べようとして箸に取ったが、食べずに元に戻す事
⚪︎握り箸…箸を握りしめて持つ事(攻撃を意味して危険)
⚪︎二人箸…食器の上で二人一緒に箸を挟む
⚪︎刺し箸…料理に箸を突き刺して食べる事
⚪︎迷い箸…どの料理を食べようか迷い、あちこちと箸を動かす事
⚪︎指し箸…食事中に箸で人を指す事
⚪︎たて箸…食べ物に箸を突き立てる(仏事のお供えを連想させる)
⚪︎探り箸…汁物の中など、箸で自分の好きなものを探り出す
⚪︎重ね箸…1つのおかずばかり続けて食べる事
⚪︎かみ箸…箸の先を噛む
⚪︎移り箸…一旦取りかけてから、他の料理に箸を移す
⚪︎なみだ箸…箸の先から、料理の汁などをポタポタ落とす事
⚪︎わたし箸…食事の途中で食器の上に箸を渡して置く事(箸置きがない時にやってしまいがち)(これをすると、もうご飯はいりません、という意味になる)
⚪︎違い箸…異質の箸を一対にして使う事
⚪︎かき箸…箸で頭などをかく(不衛生で危険)
⚪︎かきこみ箸…お茶碗を口に当てて、箸でかきこんで食べる事
⚪︎寄せ箸…食器を箸で手前に寄せる
⚪︎たたき箸…ご飯を頼む時などに、茶碗をたたく事
⚪︎せせり箸…箸で歯を突き、楊枝代わりに使う事
最後に…
大皿盛りの料理。
お取り箸がない時、どうしたら良いでしょう?
小笠原流礼法の先生に質問して教えてもらった答えです。
お取り箸がない時、箸を返して取る人がいますが…
これは、自分が手に持っている部分を料理に付ける事で不潔。また、料理を取った後が汚れて、見た目も汚くお勧め出来ません。
「お取り箸をください」とお願いしてみましょう。
それが出来ない時は
「じか箸でいきましょうか」と声をかけ合って、皆で一緒にじか箸にするのがスマートです。
次々と、黙々と、箸を返して取る、という動作は、気を使っているようでいて、美しくないですから、止めましょう。
ということです。
☆ メロンパン ☆